美しさとはなんであるか

美について私はまったくの無知である。美は一つの形として存在するのか、はたまた概念として認識されうるものであるのか、それらは人類の叡智のすべてをもってしても解決されることのない問題であろう。ただ、不思議なことに、その対象を捉えた時、例えばそれが絢爛な建築であったり、強靭な肉体であり、豊かな自然であったり、それは様々であるが、その瞬間に確固たる美の鱗片を私たちは見ることができる。もっと適切な表現を使えば''感じ''とることができるのである。これは感覚的な事象となるが、それらの対象から抽出された美は、個人の中へと流入されたと同時にわずかな恍惚をともなって矮小化されるのである。これでは、美は我々の精神の内側にのみ存在するものとなってしまう。ともすれば、美はもっとも独占的で排外的な醜悪さと同義となりうるのではないか。

美は空虚な理念にすぎないのか。美しさとはなんなんだ。いっこうに理解できない。

(405字