文学について(成立、批判)

名作の誉れ高い作品の多くは過去の作品を踏襲している場合が多い。例をあげればきりがないが三島由紀夫の傑作「豊饒の海」は「浜松中納言物語」のテーマである輪廻転生や物語展開をそのまま現代風に書き換えられている。さらに云えばこの「浜松中納言物語」も「源氏物語」に多大なる影響を受けて成立している。このように文学は前時代の作品を踏襲して書かれて来たのである。

これは同じ言語間の事柄に限ることではない。文学は常に他方面からの影響を受け続けてきたのである。一例ではあるが太宰治の「斜陽」もロシアの文豪チェーホフ桜の園」のエッセンスを抽出し書かれている。このように作品同士が共鳴しあって成立しているだけでなく〇〇主義と呼ばれる我が国の文学運動もやはり国内外を問わない他方面からの影響を受けている。志賀直哉を主体とする白樺派などがトルストイヒューマニズムの影響を色濃く受けて成立しているという過程などからもこれらは理解されうるだろう。

本筋から逸れるとまずいのでこれくらいにしておくが、ここで重ねて強調しておきたいのが文学は互いに影響し合って紡ぎあげられてきたということである。ネット場で散見される自称小説家達の作品を読めば過去の作品から学ぶことの重要性が痛いほど分かるものである。

上記の例はあくまでも一例なので他に知りたい方は各自で調べてください)